紙の雑誌なんて最後に読んだのはいつだろうか。本誌のほとんどを広告が占め、そのことによってページがかさばり、自分が読みたい箇所を探すのにも一苦労する。気づけば、進んで読みたいと思えるものはなくなってしまっていたのだ。

 

 

でも、紙の本や雑誌が売れず、個人書店が瞬きする度に潰れていくのは本好きからすると非常に悲しい。それもこれも、ずっーと前のビジネスモデルを信じ、新しいことにチャレンジをしてこなかったことに原因がある。付録付きの雑誌が売れたように、まだまだやれることはあるにも関わらずにだ。

 

 

今回、そんな雑誌業界へと切り込んでいったのは実業家 堀江貴文。彼が手がける雑誌のテーマはAR(拡張現実)とVR(仮想現実)だ。この雑誌がVRというテクノロジーに関心をもつきっかけになれば、と彼は冒頭で宣言する。その言葉に嘘はない。本書は、VRの魅力についてとことん追求した情熱あふれる一冊に仕上がっている。

 

 

表紙掲載のトピックは以下のとおり。

 

 
対談 中村修二

漫画でわかるVR入門 − 西アズナブル

スペシャル対談 花沢健吾[漫画家]、松栄立也[DMM.com社長]、島崎遥香[AKB48]

特別インタビュー 澤田秀雄[H.I.S.会長]

近未来予測「2020年のニッポンはこうなる!」田原総一朗[ジャーナリスト]ほか

パノラマ動画で見る 「ホリエモン激撮グラビア」鎌田紘子

付録 VR(仮想現実)体験キット ハコスコX

 

 

VR記事に限らず、ノーベル賞受賞の中村修二さんとの対談なども掲載されているのがまた面白い。この対談では、中村さんが現在どんな研究をしていて、これからどんなことをしようとしているのかの方面に議論の重きが置かれているので、既存のニュースとは違った角度で楽しめるのも魅力的だ。

 

 

80%がVR関連の記事であるが、やはり注目すべきは付録のハコスコXだろう。iPhoneなどのスマートフォンがあれば、VRの世界を体感できるというすぐれものだ(ちなみにiPhone6plusだとサイズが合わないのだが、なんとか使用できる)。

 

 

視点の変更に合わせて、iPhoneに映し出される映像も変化する360度視野の体験はかなり刺激的。これはぜひ試してもらいたい付録だ。ちなみに、映像は無料アプリを取得するだけでも確認することができる。(記事下にリンクあり!)

 

 

広告がほとんどない雑誌って素晴らしい


 

 

本書で特徴的なのは、広告ページが限りなく少ないということだ。2,3ページくらいしかない。本当にないのだ。これは、先述の通り僕が雑誌を避ける原因となってきたポイントである。でも、本書では広告の存在感はまるでない。

 

 

そして、広告のない本というのは実に素晴らしいということを改めて実感した。ページは最小限で済むし、読んでいる途中でプツッと途切れることがないので非常に快適。

 

 

編集長は意図的に広告を排除したはずだ。雑誌業界でこれまで行われなかったことを自ら実験するための行動であることは間違いない。広告をなくすことで、雑誌製作にかかる費用は他の部分から調達しなければならないが、こうしたトライが新しい可能性を生む芽となっていく。ちなみに、xRealityは雑誌販売に伴いイベントを開催したようだ。

 

 

斜陽産業と言われる雑誌が今後どうなっていくのか。xRealityを読んで考えてみるのも面白いかもしれない。

 

 
ハコスコ


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VRの世界を10年前に予言した作品がこの「ルサンチマン」だ。この作品を読まずして、VRの世界は語れない。

 

 

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