糖質制限食が話題になってからというもの、これまでの食事の仕方が必ずしもいいものではないのかもしれないと考えることが増えてきました。

 

今回は、こちらの本を参考に、食事について考えていきます。

 

 

カロリー神話の弊害



「カロリー重視」では、どうしてやせられないのでしょう。  それは、数字(カロリー)だけで食事を制限すると必要な栄養がとれず、とらなくてもよい栄養をとってしまう、栄養のアンバランスを引き起こすからです。

 

1日に摂取するカロリーよりも消費するカロリーのほうが多ければやせる。数字的には確かに正しいことです。しかし、栄養という観点から考えると少し様子が変わってくる。

 

極端なたとえ話をします。1日に必要なカロリーを脂質と炭水化物でまかなったとしましょう。すると何が起きてくるのかというと、筋肉が減っていくことが予想されます。筋肉の形成維持にはタンパク質が唯一の栄養源となりますが、それがなければ、基本的には減少の一途とたどりますよね。筋肉が減少すると、見た目は大きく変化します。

 

筋肉があるかないかの指標は体脂肪率で考えればわかりやすいかと思いますが、同じ体重で10%か20%かでは大きく見た目が変わってきますよね。ここでは「やせる」という意味も問題になってくるのですが、それはまた別の機会に。

 

さて、先ほど炭水化物と脂質の食事を例えに出しましたが、こういうバランスになっている食事は意外と多いと僕は思っています。

 





























カロリー たんぱく質 脂質 炭水化物 ナトリウム
ミニ
(店内メニュー)
466kcal 14.7g 10.7g 77.9g 746mg
並盛
(店内メニュー)
622kcal 18.9g 13.2g 107.2g 943mg

牛丼の栄養成分:すき家HPより
こちらの表を見ると、牛丼だと炭水化物が圧倒的に多いことがわかります。カロリー換算すると430kcalほど。ちなみに炭水化物は1gあたり4kcal。タンパク質も同様で、脂質は9kcalです。

 

この栄養バランスは今の日本人の食事における基本となっています。

 

そしてさらに不幸なことに、ダイエットとなるとまず真っ先にタンパク質や脂質が危険因子として挙げられ避けられる傾向にあります。これではますますバランスが偏るばかりで、たとえ痩せたとしても筋肉が残らずメリハリのないやせボディが形成されてしまう恐れがあるのです。

 

 

人間が飢餓と長年戦ってきたことが、今の肥満率上昇を招いた


 
私たちの遺伝子の記憶にとって、砂糖や脂、塩をこれだけたっぷりとる生活はありえない状況なのです。私たちの脳やカラダにとっていまの食生活は想定外です。そのために行動をうまく制御できなくなっているのでしょう。

 

人間の歴史は、食料の確保の歴史でもある。米や小麦の大量生産法が確立されたことにより、人類餓えの危機から開放されるようになったわけですが、それは「肥満」には悪影響を及ぼしているようです。

 

これまで食事は満足にとることができないものとして脳にプログラミングされ、エネルギーは貯めこむものとして認識しているらしい。そんな状況のなかで、お腹いっぱい主食や油などを取ることができるというのは、これまで人類が体内に築き上げてきたものと真逆の環境といえるでしょう。

 

ここ数世紀の劇的な変化に人間の身体が適応できていないというのは、納得できる話ですね。これだけ知性が発達して、理性も論理も身につけたはずの人類が食欲に勝てずブクブクと太ってしまう。本来なら意思の力でどうにでもなりそうなものなのに、そうはなかなかならない。こういった状況を見ると、想定外の環境が私たちの身体の制御盤をおかしくさせているという話は、あり得る話なのかなと。

 

 

もっとも価値のあることは、ちょっとした価値観の変化


 

本書では、小麦などの精製食材や加工食品などは中毒性があるので避けたほうがいいということも記述されています。そのほかにも、おかしくなってしまった食欲センサーを戻すための対処法など、これまでいろんな健康法で述べられてきた食事の仕方のハイライトがよくまとまっています。

 

食事健康法が広まったことによって僕たちが得ることの出来た一番の武器は「ちょっとした価値観の変化」だと思っています。例えば、糖質制限という食事方法が世に出てきたことによって、それまでの栄養バランスや主食を中心にした食事に疑問をもつことができるようになりましたね。糖質制限が話題になった理由は、食事量を制限しなくてもよくて、運動しなくても痩せられるという点だと思います。しかし、結局のところ長期的なリスクをまだ誰も評価することができないため、本当に正しいのかどうか賛否両論を未だに呼んでいます。使えるのかどうかわからない、そんな状況は新しい健康法のブームの沈静化を助長していく。最終的には、これまで慣れ親しんだ食事に戻ってしまった、そんな人もきっと少なくないでしょう。

 

ここで僕がいつも思うのは、1か0じゃなく学んだことはマイルドに適応すればいいじゃないかということ。

 

つまり、「毎食必ずしも主食を取る必要はない」という考えにこそ一番の価値があると思うのです。

 

食べてもいいし、たまには抜いてもいい。半分にしたっていいし、たまには大盛りにしてもいい。どちらにしても、これまでの食事を鑑みて取り過ぎだと思うのなら、適宜調整すればいい。0か1かの極端な話じゃなくて、これまで当たり前だと思っていたことを少しずつ変えてもいいんだっていうツールをてにしたと思うのがいいんじゃないかと。

 

確かに、こういった類の本は極端な表現や結果であふれていて、そういった思考の手助けをしがちです。でも、いいとこをちょっとずつ吸収して、少しずつ自分の頭をほぐしていったら、いろんなことに適応できる柔軟さを手に入れることができたなら、それはすごいいいことなんじゃないでしょうか。

 

少なくとも僕は、朝昼に主食をとらなくなって仕事中の眠気を撃退することができるようになったし、基本的に糖質が少なめの生活をしているので、たまにチョコレート一切れを食べたとしても大した問題にはなりません。制限というほど、制限はしていないけれども、ちょっと考えが変わっただけでずいぶん食の幅が広がったように思います。

 

大切なのはちょっとした変化。

 

というわけで皆さんもぜひ。Kindleだと60%OFFくらいになってますよー。

以下に参照しきれなかったメモを残しておきますのでこちらも参考までに。

 

 

読書メモ


 
私もコンビニで買い物をすることがあります。ただ、購入するのは、バナナやみかんなどのフルーツ、プレーンヨーグルト、ミネラルウォーター、魚の缶詰など、なるべく加工されておらず、自然に近い状態の食材です。ふつうの人はコンビニではあまり買わないようなものばかりです。

 
やせて脂肪細胞が正常な状態になれば、それとともにレプチンは減少して、正常な食欲に戻るでしょう。

 
おなかが減っているときは、血液中のブドウ糖が枯渇しているサインでもあります。このタイミングでカラダを動かせば、効率よく体内の脂肪を燃焼させることができます。また、中性脂肪がブドウ糖に分解されると、空腹感もなくなります。

 
ストレスによる不快感を打ち消そうと、幸福感を求めて、一番手っ取り早い「食べる」行為で、脳が幸せを満たそうとしているのです。ダイエットを成功させるためには、そこを考えなければいけません。おなかがすいたから食べるのではなく、「脳」が幸せを感じたいから食べている、ということです。  食欲をコントロールしているのは〝脳〟である。