機動戦士ガンダム THE ORIGIN (24) 特別編 (角川コミックス・エース 80-39)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN (24) 特別編 (角川コミックス・エース 80-39)





  • 作者:安彦 良和

  • 出版社:KADOKAWA/角川書店

  • 発売日: 2015-02-25






 

 

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』はファースト製作に関わった安彦良和氏が手がけたことでファンの間では非常に注目度が高い作品だ。2015年2月にキャスバル編が劇場化されたことでも話題になった。今回は本編完結から4年を経て刊行されたサイドストーリー編を取り上げたい。

第24巻特別編と題された本書は、全4本収録で主役も違えば時代も違う。各タイトルは次のようになっている。

「その前夜」

「キャスバル0057」

「アルテイシア0083」

「アムロ0082」

 

年号あたりで反応してしまうような諸氏は、相当なガンダム好きと見える。0083なんかは特に。私もかなりのガンダムフリークなのでついつい話がそれてしまった(笑)。本題に戻ろう。

 

「その前夜」では、ファーストガンダムでいう「ガンダム大地に立つ!」の前の日が描かれる。アムロたちの日常と、ジオン軍兵士たちの緊張感の対比が際立っていて、明日にはあれが起こるのか・・・という視点で見るとなかなか面白い。

「キャスバル0057」では、赤い彗星シャア・アズナブルの生誕の瞬間が描かれる。メインストーリーの方に気を配りたいところなのだが、ちらっと登場するドズル・ザビが忘れられない。なにせ学ラン姿なのだ。

「アルテイシア0083」では、セイラさんの戦後の暮らしが描かれる。これはファンなら誰しも見たい!と思っていた話だろう。アムロやシャアはその後の作品でも登場するが、セイラさんはそれっきりだった。アルテイシアとタイトルにはついているが、カイ・シデンの登場も見逃せない。彼はジャーナリストとしてその後活躍することが知られているのだが、そのターニングポイントとなる出来事もこの話が大きく関わっている。

「アムロ0082」では、アムロが終戦後に日本の出雲大社を訪れる話だ。日本的な風景にガンダムのキャラクターが登場するというのはなんとも違和感ぬぐえない様体を示しているのだが、ここで重要なのはハヤトとアムロ、そしてフラウの関係性だ。

 

かゆいところをついてくる、さすが安彦良和氏といったところだ。ガンダム生みの親の富野由悠季氏が安彦良和氏に対して、楽しみにしているから好きにアレンジして欲しいといったことだけはある。貞本義行が新世紀エヴァンゲリオンのコミカライズを成功させたように、安彦良和氏も機動戦士ガンダムの世界観をよりいっそう楽しめるものへと昇華させている。その一躍を担ったのが本書のようなサイドストーリーの追加と本編のアレンジなのである。40年前に作られたファーストガンダムはもう映像的には古い感じがしてなかなか見づらいというのが正直なところだが、漫画であればそういった問題は生じにくい。ガンダム好きでかつファーストにたどり着いていない人はTHE ORIGINから入るというのもありかもしれない。