こんにちは!ワダマコト(@wada_makoto_)です。


四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

  • 作者:川村 元気
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日: 2016-11-04



『君の名は 』のプロデューサーをつとめた川村元気氏の最新作が発売されました。
川村さんは『モテキ』などの有名映画も手がけている敏腕プロデューサー。
さらに、小説『世界から猫が消えたなら』や『億男』も書かれています。


最新作はサイモン&ガーファンクルの曲と同タイトルの『四月になれば彼女は』 なわけですが、これは『君の名は』の続編だと勝手に思っています。
※瀧や三葉が登場するわけではありません。


※ネタバレ注意

運命の人と一緒になれるの?


本書で描かれるのは2つの恋愛模様です。
主人公はフジ。大学生のころに出会ったハルという、同じ写真部に入部してきた後輩との恋と、その後、精神科医になってから一緒になる弥生との恋愛が描かれます。


学生時代のハルとフジの恋愛は、まさに青春。
フィールドワークをしながら、一緒の時間を過ごすフジとハル。
2人がはじめてお互いの気持を確認したのは、電車のなかでした。
ハルが「あなたのことが好きです」と思いを伝え、フジも同じ思いであることを告げたのです。
遠くに見える花火を車窓から眺めながら、2人の奇跡のような時間が始まります。


まるで2人は、会ったときからお互いに運命の人と出会ったかのような幸せぶりでした。
それは『君の名は。』のラストシーンでみた瀧と三葉が出会ったその後を描いているように思えます。



フジとハル、瀧と三葉。
彼らは最後まで一緒に過ごすことができるのでしょうか?


フジとハルはある事件をきっかけに、別れることとなってしまいます。
どんなことがあっても私はフジのことが好きだよ、と言っていたあの瞬間は、ついに永遠に続くことはなかったのです。


運命の人と出会っても、その人と一生を共にすることはできない・・・
甘く切ない現実を突きつけられます。


僕も過去にものすごく好きになって、5年くらいお付きあいした人がいましたけど、小さなきっかけで別れることになりましたからね。
別れてからも好きでいつづけられるような「運命の人」とは出会うことはあっても、必ずしも上手くいくとは限らないということです。


なぜ瀧と三葉は階段ですれ違ったのか


『君の名は。』のラストシーンでは、瀧と三葉は階段で運命の出会いを果たします。
てっきり秒速5センチメートルのオマージュで踏切で会うのかと思いきや違いましたね。


映画というのは全てのシーンに監督が意味をほどこします。
観客からどれだけ無意味そうにみえても、作り手は無駄なシーンは一切入れていません。


最後のシーンが階段で描かれていることにも意味があるのです。
踏切でのラストシーンとなれば、僕みたいに新海作品を見てきたファンにはたまらないシーンとなったわけですが、そうはしなかった。踏切シーンでRADWIMPSの曲が流れてっていうことになったら、「秒速5センチメートル」でのめり込んでしまった僕のような人たちは、立ち直れなかったかもしれませんからね(笑)。


「階段」というものに何かを込めているとしか思えません。
細かな状況としては、三葉が階段を登りきっていて、そこに瀧が登っていく。
そして、一度すれ違います。
このすれ違いもなかなか意味がわかりませんよね。
そのまま正面で一言喋ってもよさそうなものです。


三葉が階段を降りだし、瀧は階段のテッペンに着いたところで物語は終わります。


この階段は、恋愛のピークを意味しています。
テッペンに瀧がいる、つまり、運命の人に出会えたという瞬間に彼がいることを暗示しているのです。
対して、三葉はちょっと下にいる。



下に降りているということは、出会いをすでに終えていることになります。
そこで思い出すのは三葉のあの言葉。
「生まれ変わったら、東京のイケメン男子にしてくださーーい!」というあれ。


三葉が恋していたのは瀧ではなく、「東京」だったのではないでしょうか?
糸守町から東京にでてきた彼女は、恋い焦がれた東京とすでに出会ってしまった。
だから、すでに恋愛のピーク、すなわち階段から少し降りたところにいるのです。



恋のピークは出会った瞬間


『四月になれば彼女は』では、フジとタスクという2人の会話が印象的です。
中でも、『卒業』という映画について語っているシーンが、先の話をどストライクについているのです。
作中のラストシーンは、教会で結婚式を上げている彼女を連れ去り、バスに乗り込んでフェードアウトしていくわけなのですが、このときの2人の表情がなんともいえないのです。


はじめこそ、ニンマリとしている2人なのですが、その後少しずつ表情が固くなっていきます。
これから先の現実が頭によぎる。
駆け落ちしている瞬間に見せたあの最高の笑顔とは対照的です。


そして、『四月になれば彼女は』では、タスクが次のような言葉を放ちます。


「でも、そうじゃないですか?彼らにとっての恋のピークは間違いなく駆け落ちした瞬間で、そこからは坂を転げ落ちていくしかない。」


そうです。『君の名は。』の階段なのです。恋のピーク。
瀧はてっぺんにいて、三葉はちょっとしたにいる。もう坂を下りはじめているのです。


そして『四月になれば彼女は』では、フジとハルは突然別れることになります。
別れたあと、ハルはガンにおかされ、その短い生涯に幕を閉じます。
かつて思い描いた運命の人と日々はもう戻ってくることはありませんでした。

 
『君の名は。』で描かれたのは、恋愛でいう運命の人と出会うその瞬間までだったのです。
そして、『四月になれば彼女は』で描かれたのは、その後の話。


人物こそ違えど、まるで続編のような話の構成でした。
川村元気さん恐るべし。


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