キャリー (新潮文庫)

キャリー (新潮文庫)

  • 作者:スティーヴン キング
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 1985-01



スティーブン・キング氏といえば、ホラー小説の巨匠であり、ヒットメーカーである。特に映画化された作品の認知度はすさまじい。『ショーシャンクの空に』を筆頭に、『スタンド・バイ・ミー』、『きゃりー』、『ミスト』、『シャイニング』、『IT』などなどとても挙げきれるものではない。最近では『アンダー・ザ・ドーム』なんていう海外ドラマも人気だ。ウィキペディアの説明欄も相当に長い。


本読みとしては、スティーブン・キング氏といえば小説であるというのは当然のことなのだが、実際は意外と知られていない。というより映画は見たけど、原作は知らないという人がけっこう多いというほうが正しい。先にあげた映画なんて、どれかしら見たことがあるという人は多いはず。しかしどうだろう、その小説を手にとったことは?答えはNO!周りに読んだことがある人なんて片手で足りるほどだ。なんでこんなことを言うのかというと、小説のほうが面白いからだ。本と映画は別の作り物だ、なんていう話はどうでもよくて、単純に面白いのである。


例えば、 キング氏の処女作『キャリー』だと、キャリーホワイトは醜い人物として描写され、それゆえに抱える悩みが読者にもよく伝わってくる。映画では、そもそも女優が美人さんであるし、心の機微までは映像にすることは限りなく難しいので、単なるサイコキネシス映画として受け取られかねない。内気な少女が生理による一波乱で秘めた力を開放する、なんていう具合に簡潔な印象が残る。これは非常にもったいない。小説であれば、新聞記事やレポート等の第三者による情報を交えながら読み進める構成になっているため、一体なにが起こったのかというドキドキ感を常に胸に抱えながらページをめくっていくことになる。フィナーレに向かって高揚していく体験ができるのである。映画でもそこまでやってほしいものだが、残念ながら小説がすごすぎた。だからこそ、この面白さを映像でしか知らないというのは、非常にもったいないことをしていると言える。